紙苑

〈紙苑〉第20集に寄せて

 本書は、第14回ちぎり絵全国展(金沢)出品作品全点を掲載しています。
 1000年以上も昔から、わが国の風土と携わる人々に育まれ受け継がれてきた和紙。その伝統の上に、近年さらに職人さん方の熱心な創意工夫により、多種多様な和紙が生まれています。ちぎり絵は、その和紙をちぎって貼り重ねて描いた絵です。ちぎり絵が誕生して40年余、私達は和紙に魅了され描き続けてきました。
 作者のほとんどが、ちぎり絵に出会うまでは、絵筆など握ったこともなく、「絵心」とは無縁と思い込んで生きてきた方々ばかりです。でも、ちぎり絵に出会ってからは……。
 仕事や家事、介護や看護、子供や孫の世話等々、忙しい日々の中に僅かな時間を見つけて、ちぎり絵に没頭する。無心に和紙をちぎって貼っていく。至福の時間が流れます。こうして生まれたのが、本書のひとつひとつの作品です。年齢も、若い世代から90歳代までと、あらゆる世代にわたります。大半が女性ですが、男性もいます。
 「生老病死」。人生で避けられない試練も、ちぎり絵を支えに乗り越えられた方々も大勢います。それぞれの心のいちばん大切な場所を占め、生き甲斐となっているちぎり絵。ちぎり絵の不思議な力に想いを巡らすとき、生みの親である亀井健三主宰の言葉が耳の奥で響きます。

和紙ちぎり絵は
絵の好きなあなたのために
これまで絵など描いたことのない
描けると思ったこともない
あなたにも
すてきな美しい絵が描けるという自信を
もたせてくれる…
そのきっかけをあたえてくれる…
そういう絵です
展覧会で
専門の絵かきさんの描いた絵を
見せてもらうだけでなく
自分で描いてみることが
どんなに楽しいものであるかを
このちぎり絵はわからせてくれるでしょう
もしあなたが絵が好きで
自分でもやってみたいとお思いなら
この絵を始めてごらんなさい
でも絵ごころがないから?
とんでもない
あなたが絵が好きだということ
それが絵ごころではありませんか
人はだれでも絵ごころをもっているのです
ただ、それが、子供のころに
ちょっと目ざめたままで
長いあいだ眠っていたのです
その絵ごころが
ふとしたはずみに目をさます
和紙ちぎり絵は
あなたのための
そういう絵です

 最後になりましたが、この度の展覧会開催ならびに本書の上梓にあたり、多くの方々のご尽力、ご協力を賜りました。心より敬意と感謝を捧げます。

 2009年 若葉の頃に

全国和紙ちぎり絵サークル 
本部長 宮 崎 純 子 

紙苑第20集作品の一部紹介

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