紙苑

ちぎり絵の絆を未来へ結ぶ-------「紙縁」第18集に寄せて

 40年ほど前、私達のちぎり絵はこの世に産声を上げました。その日から今日まで、亀井健三主宰のもとに、全国各地に和紙を愛する仲間が続々と集い、ちぎり絵を描く悦びを分かち合ってまいりました。
 一途に制作に打ち込む方、それと平行して後進の指導に情熱を注がれる方、また地域の学校、医療、福祉の現場でボランティアに励まれる方、国際交流に努められる方等々、それぞれの心の赴くままに、活動の場を拡げてまいりました。
 そして、その活動を根底で支え続けて下さったのが、和紙の職人さん方でした。伝統に培われた技術の上に、たゆまぬ研究が重ねられ、新しい命を吹き込まれた美しい和紙の数々。私達はそれに魅了され、創作意欲をかきたれられてまいりました。全国のちぎり絵の仲間と共に、心より敬意と感謝を捧げます。

 さてこの度、第12回全国和紙ちぎり絵サークル/津全国展を記念して、この作品集をお届けいたしますが、この中には、これまで積み重ねてきた私達のちぎり絵の歴史と、現在と、未来が集約されていると申せましょう。
 今回の全国展は、2年前の京都での全国展に引き続き、全国からの応募という形式をとりました。つまり、サークルの大小、新旧を問わず、会員のキャリアの長短を問わず、広く意欲的な作品をすくい上げたいという意図があったからです。結果として、数多くの秀逸な作品が集まりましたことは喜ばしいことでした。またこの度の全国展開催地の三重県下のサークルの皆様からも優れた作品と大きな共同作品が揃いましたことは頼もしいことでした。
 今回の特色は、見応えのある大作が増えたこと、モチーフが多様に展開してきたこと、風景・静物・人物すべてにわたり、構図や色彩の構成力が磨かれてきていること、とり分け目を引くのが、次々と生み出される工夫を凝らした染め方や漉き方の和紙の魅力を自在に活かし、自由で創造性豊かな作品が生まれてきていること、などでしょうか。
 惜しくも2年前に他界した亀井主宰の念願のひとつが、ちぎり絵を和紙の絵画として、その質を高めていきたいということでした。今そのことが、着実に実ってきていると思います。自分自身の世界を描くこと、それが絵であり、和紙でなければ描けない絵、それがちぎり絵であるということを、自からの課題として自覚が深まってきているということでしょう。
 ここに収録されている作品のひとつひとつを、ごゆっくりご鑑賞下さり、作品に込められた作者の思いを汲み取ってください。さらにその背後に、作者を見守る家族や仲間、ちぎり絵を愛してくださる方々や和紙の世界で働く方々の存在と絆をも感じ取っていただければ幸いです。この絆を私達は「紙縁」という美しい言葉で呼んでまいりました。これは生死を越えて続くものであり、また新たな出合いをよぶものでありましょう。私達はこの言葉を灯火として、これからも一歩一歩進んでまいりたいと思います。ちぎり絵の未来に向けて……

 2005年 桃の節句に

全国和紙ちぎり絵サークル 
本部長  宮 崎 純 子

紙苑第18集作品の一部紹介

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