2015年8月の教材

 

作品名 作者名 サイズ
湖畔の秋 亀井健三・宮崎純子
(本部)
式紙

約40年前、ちぎり絵の草創期に、私達が初めて典具帖と落水紙をちぎり絵に使い始めました。この素材の豊かな表現力に限りない可能性を確信し、私達の歩む方向が定まったのです。その後も次々と新たな和紙との出会いがあり、予感していた未来の姿-----自由であり多様であること-----が、全国の皆さんの作品の中に証となって実を結んでいます。
この作品は、典具帖と落水紙に出会った当時、亀井主宰が嬉々として描いた一連の秋のモチーフをリメイクしたものです。
和紙と関わりお世話になった全ての方々への感謝とリスペクト(敬意、尊敬)の気持ちを込めて、お届けします。

◯下図・・・水平線の位置だけ描いておく。

◯下貼り(下色)・・・森の部分==空は式紙の色をそのまま残して、それ以外の部分に画面上端から水平線まで黄葉色系むら染め典具帖を一枚大きく貼る。下草の暗がりを濃い緑濃淡折染めで、水平線から上に4㎝前後波状に水切りして貼る。
水面の部分==水平線から画面下端まで、先に紺色系濃淡折染めで、遠くが濃く手前が淡くなるように一枚大きく貼る。次に、淡い灰青濃淡折染めで、遠くが濃く手前が淡くなるように一枚大きく貼り重ねる。さらに先に貼った紺色系濃淡折染めで(淡い方が残っていますね)、水平線から手前1/3位まで波状に水切りして貼る。

◯森・・・空との境目あたりを雅染めをちぎってぼかす。淡い黄緑とグレー2色むら染め2種(濃いトーンと淡いトーンの2種)と同じような色2色折染めの計3種をちぎって全体の調子を付けていく。左右は淡く、中央は濃くなるように。中央には水面使用の濃紺も僅か数ヶ所小さくちぎったものを入れて下さい。
落水紙をちぎって貼っていく。オレンジ系むら染めや、淡い黄緑系むら染めで。濃い緑系むら染めは、主に下草の暗がりとの境をぼかすように貼っていく。黄色を貼る前に、木の幹を貼る。
厚紙の白と灰青2色折り染め2種と、ピンクと茶系2色折染め1種で。そして黄色春雨落水紙を木の上方をぼかすようにして貼っていく。最後に、厚紙の黄色系折染め3種と、木に使用のピンクと茶系2色折染めをハサミで細かく刻んで散らします。

◯水面・・・白春雨落水紙をハサミで細く切って樹影に。雅染め、淡くくすんだベージュとグレーのむら染め、クリーム色系、そして下貼り使用の淡い灰青折染めの残りなどをちぎって貼り、終了、完成です。
                              
(純子)

この作品はちぎり絵サークルの教材として特に作者から提供されたものであります。したがってこの作品を模作・複製して発表したり、販売したりすることは著作権の侵害になりますのでご遠慮ください。