2012年11月の教材

 

作品名 作者名 サイズ
雪明かり 亀井健三・宮崎純子
(本部)
式紙

今年は亀井主宰没後10周年にあたります。そこで主宰の作品を教材にと、彼のお気に入りの「雪しぐれ」シリーズから選びました。これは芳子夫人も「いちばん好き」と言っていた作品です。(『紙苑」第15集45頁、NO.83掲載)
原画に使われた和紙には、特殊な染めも含まれていて、再現が無理でしたので、教材用には可能な範囲のものを使用し、従って構成も少し変えて描いています。

この作品を見ていると、主宰が常々口にしていた<邂逅>という言葉を思い出します。「あの人に出会わなければ、あの書物に、あの絵に出会わなければ、今の自分はない。自分の生き方まで根底から変えてしまうような幸せな出会い-----<邂逅>。それは闇夜に訪れてくる旅人にも似ている。明りを頼りに旅人が訪ねてきても、その家の主が眠り込んでいれば、旅人はそっと立ち去ってしまうだろう・・・永遠に。だから、いつも心に灯火を掲げ、心を目覚めさせておくように。<邂逅>を成立させるためには、心の準備が必要だよ」と。

◯式紙はシックな灰紫色で、これを基調とします。
◯下図を描く。
◯特大判のうす紫と灰色2色折染め超極薄紙を式紙全体に一枚貼る。空の上下が濃淡に、雪原が濃い色になるようにして。
◯大判の黒味の青紫で遠くの山を貼る。鉄筆で切って、ふもとの線まで。
◯この黒味の青紫の下に、鮮やかな赤紫と青紫むら染めを重ねて、手前の山とする。ふもとの線まで鉄で切る。
◯濃い鉄紺色機械漉き典具帖でふもとの林をちぎって貼る。
◯道の手前も少し貼る。遠くの山使用の黒味の青紫で。貼る方向は水平(横に横に)に。
◯家の屋根は檀紙を2枚に剥いだもので。灯火の明りは、黄とオレンジ2色折染め超極薄紙をちぎって重ねます。壁は無視して下さいね。
◯雪原は白春雨落水紙を主に、下貼り用のうす紫と灰色を少々。それに白典具帖です。左右の雪原の面積に水切りでおおまかに貼っておいて、次にちぎったものを水平方向(横に横に)に貼っていきます。所々にうす紫や灰色も入れて。林との境目のところを白典具帖の毛羽を活かしてふんわりさせます。
◯最後に雪を降らしましょう。檀紙の剥いだもので、丸くちぎって、画面上部には少し大き目で、下の方は少し小さ目で。細かいものはハサミで切って散らして下さい。家の周囲には、明かり用の紙もハサミで切ったものをチョッピリ散らしました。

(純子)

この作品はちぎり絵サークルの教材として特に作者から提供されたものであります。したがってこの作品を模作・複製して発表したり、販売したりすることは著作権の侵害になりますのでご遠慮ください。