2005年9月の教材


作品名 | 作者名 | サイズ |
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薔薇 | 萩村元子 (柏サークル) |
4F式紙 |
ちぎり絵でバラを、でも難しくて……。そう思いこんでいませんか? バラは、実はちぎり絵が最も得意とするモチーフです。この教材をマスターすれば、苦手意識は吹き飛ぶはずですよ。 ○淡い黄色のバラがモチーフです。花の描き方から説明します。 花びらの基本の紙3種(5.5匁と4匁の白純楮因州紙、白土佐典具帖紙)。 明暗の調子を付ける紙8種(黄色土佐典具帖紙2種、黄色濃淡むら染め超々極薄紙、黄色と黄緑折染め超極薄紙、黄色と緑むら染め超極薄紙<a>、黄色と茶と緑横折染め超極薄紙<b>、黄土色濃淡折染め超極薄紙<c>、ピンクとグレー折染め土佐薄典具<d>) 1)描く順序は、花の中心→いちばん外側→中間です。 まず花の中心部分に濃い色を貼っておく。(<a><b><c>など、大きさは牛乳びんの紙ブタくらい) 白土佐典具帖を小さく細くちぎり、縦に二つ折りにして(ちょっとずらして)半円を描くように曲げながら貼る。紙が厚くなったところは白が強くなり、薄いところは下色と混ざって白が鈍くなりますね。中心の花びら4〜5枚をこのように貼ってください。中心部分の明暗の雰囲気が出てきましたね。もし色が足らない時は調子を付ける色で足してください。 2)次に、いちばん外側の花びらです。これは、4匁の白純楮紙を使います。基本的にはちぎる(必要に応じて、鉄筆・ハサミも入れてください)。 正確な形にちぎれなくても、後で貼り足せばいいのです。そして調子付けの色を貼っていく。 3)中間部分、つまり白がいちばん強く発色している花びら数枚です。5.5匁を使います。適当な形にちぎり、少しだけ折り込んで、カーブさせるように貼っていきます。 そして調子付けの色を乗せます。折り込んだ部分が、キリッとメリハリが利いて、いい感じが出ましたね。 調子付けの色は、バックへはみ出すぐらいの方が、むしろ輪郭線が和らいでいいですよ。 4)仕上げは、花一輪全体を見ながら、形と色を整えるよう、(筆で色を加えるような気持ちで)少し貼り重ねて下さい。 練習のつもりで、ひるまないで積極的にやってみてください。 さあ、一輪仕上がりました。ちょっと嬉しい気分ですね。この調子で2輪目、3輪目と描いてみましょう。6輪描きあげたとき、貴方はもうすっかり「ちぎり絵で描くバラ」の面白さの虜になっていることでしょう。 <d>の色は、お化粧のつもりで、花びら一枚か二枚にほんのちょっぴり使ってみて下さい。ほら、バラがにっこり微笑みましたよ。 ○バック 因州紙段染め。初めて使う染め方です。静かな明暗の雰囲気を演出します。 ≪注意≫この原紙は、入手事情によりパルプが半分入っています。濡れると破れやすいので、慎重に扱ってください。式紙に貼るときは、手のひらで優しく押さえるように貼ってください。 ○花瓶 土佐楮紙を顔料で一度染め、さらに草木染めが施してあります。全く新しい染め方です。 右の光の当たった部分には、赤味の橙色の超極薄紙と、花の調子付けの黄色濃淡むら染め超々極薄紙で。(赤味の橙色は、花瓶の形を写すのに使ってもいいように、大きめにしています。) 茶と緑の折染め超極薄紙(小判)で調子を付け、左の陰影とテーブルの影には、焦げ茶と灰黒のむら染め極薄紙(大判)で。 ○葉 因州折染め3種と、くすんだ濃い緑無地極薄紙(小判)。左の暗がりや花瓶の上の葉の影は、焦げ茶と灰黒のむら染め極薄紙で。 亀井主宰がその生涯で描いたバラは、幾千という数にのぼります。それほど描いても飽きることのない、尽きぬ魅力のあるモチーフだったのでしょう。 (純) |
この作品はちぎり絵サークルの教材として特に作者から提供されたものであります。したがってこの作品を模作・複製して発表したり、販売したりすることは著作権の侵害になりますのでご遠慮ください。