2014年8月の教材

作品名 作者名 サイズ
月見草 岡野由利子
(岡山県)
式紙

夏の夕方、野原や空き地に咲く背丈の高い黄色い花を「月見草」とか「宵待草」と呼び親しんでいます。でも実は、これらの本当の名は、マツヨイグサ、オオマツヨイグサ、アレチマツヨイグサといい、本来の月見草とは別物とのこと。これらは明治初期に北米や南米から入ってきて、その性質の強さから、たちまち野性化し、帰化植物となったのだそうです。
一方で、本来の「月見草」は、やはり北米からもう少し前の江戸期(嘉永年間)に入ってきて、その性質が弱いため野生化することなく、今日に至ったそうです。花の色は純白で、いかにも楚々とした風情を持っています。
原画作者の岡野さんも、以上のことを植物研究家が新聞紙上で紹介されていたのを読まれ、種を分けてもらい、この20数年お庭で育てておられます。宵を待つように咲き始め、夜中から薄紅色がさしてきて、翌朝には濃いピンク色になって閉じてしまうそうです。白く清らかな花は、まさに「月からの使者」に見えるそうです。

◯式紙・・・シックな紫に、右下から斜め半分くらいにぼかしを入れていただきました。これだけでも幻想的な空間になりますね。

◯花・・・白4種(10匁、5.5匁、機械漉き極薄紙、手漉き典具帖)と、水色・紫・ピンクの格子折染め典具帖、紫系2種とうす緑濃淡折染め1種の超極薄紙。
10匁と5.5匁は、例えば一輪の花の向こう側の花びらを5.5匁で、手前の花びらを10匁でする。また画面のいちばん右上の花と、左下の花を5.5匁で、あとの三輪を10匁でする、など白の厚さによる発色の違いをうまく活かして下さい。
薄紙の白2種は、陰影に使う色をぼかしたりする場合に使って下さい。(ちなみに、ほとんど使わなくても出来ました。)
花心は黄濃淡折染めをハサミで。

◯茎・・・草木染めです。20年ほど前に、ロッグウッドという染料で染めていただいたもの。「干支・亥」の教材に使いましたね。その当時の紙が残してありましたので、この度入れています。この染色家はすでに引退され、現在この色をそのまま再現することは不可能に近い、そんな貴重なものです。
原画の茎は、ほとんど濃い色になっています。でも、入れてある紙の濃淡のぼかし(グラデーション)がとても素敵ですから、これを利用しましょう。ハサミか鉄筆で細く切って。花に近い方に濃い色を持ってきて下に向かって淡くなる様にしてごらんなさい。まるで月の光を浴びているような陰影が出て、美しい茎の色になりますよ。

◯葉とつぼみ(?)・・・紫系絞り染め、紫とグレー2色折染め、アミ目落水紙3種。


(純子)

この作品はちぎり絵サークルの教材として特に作者から提供されたものであります。したがってこの作品を模作・複製して発表したり、販売したりすることは著作権の侵害になりますのでご遠慮ください。