2013年4月の教材

作品名 作者名 サイズ
美しき田園 安藤百合子
(神奈川県)
式紙

旅行中の作者がひときわ感銘を受けられた、イタリア中部のトスカーナ地方の風景です。なだらかな丘がどこまでも続き、小麦、オリーブ、ぶどうなどの畑が広がります。野原には花が咲き乱れ、糸杉の並木があり、農家の建物や旧貴族の館が点在しています。まさにこの風景を前にすると、自ずから旅人は詩情がかき立てられ、絵心が湧いてくる「美しき田園」地帯です。
作者は描かれるにあたり、実際の建物や糸杉の数を大幅に減らし、整理されて、赤いケシの花を強調するようにして画面を再構成されています。その結果、すっきりとまとまりのよい、印象的な作品になりました。かつてこの地を旅した方は追想を、まだ訪れていない方は、この作品でイタリア旅行気分を楽しみましょう。

◯下貼りを分割して貼ります。


1. (あ)はオレンジ系2種。無地極薄紙の上に雪しずく染めを重ねる。さらに建物の左奥に、丘をひとつ描く。2種を重ねて。
2. (い)(う)(え)全部に、黄緑先染め典具帖(特大判)を一枚大きく貼る。
3. (い)に黄緑と青緑の雪しずく染めを適宜貼る。
4. (う)全体に、水色と緑の雪しずく染めを貼る。
5. (え)全体に、うす緑先染め典具帖(特大判)を貼る。あとは、この色を下部へ。雪しずく染め2種を上部へ貼る。また、あやとり紙を2種を草むらに貼って、その上をぼかすようにうす緑無地超極薄紙(長方形の判)を貼る。
以上で下貼り完成です。画面全体に奥行き感(遠近感)が出ましたね。

◯細部を仕上げていきましょう。
建物は茶系厚紙2種。濃淡折染めは珍しい貴重な雁皮紙で、草木染めです。ポイントになる大切な色です。屋根と壁に。窓はこげ茶の方で。
糸杉は、遠くの小さな木は黄緑と緑の2色折染め超極薄紙を二つ折りにして、小さくちぎって下さい。右手前の3本の大きな木は、幹は絞り染めで(見えている部分だけでよい)、葉は雲龍紙をその形にちぎって、その上に緑無地超極薄紙を重ねる。
ケシの花は5種。遠近感を出すように、淡い色から濃い色へ、小さいものから大きなものへと、差をつけて変えていきましょう。花心は黒を鉄筆の先で。

(純子)

この作品はちぎり絵サークルの教材として特に作者から提供されたものであります。したがってこの作品を模作・複製して発表したり、販売したりすることは著作権の侵害になりますのでご遠慮ください。