2007年6月の教材

作品名 作者名 サイズ
雨あがる 加藤久子
(鳥取サークル)
式紙
今回は教材の、特に和紙の「染め」についてお話ししましょう。
原画を効率的に再現できるように、それぞれ目的にあった和紙を用意すること、教材の袋すべてに万遍なくよい染めを入れること、これを目標にスタートします。
和紙の原稿作り(注文書)は、次のことを検討します。
和紙の原料は?(楮か三椏か。それ以外のこともある。)漉き方は?(手漉きか機械漉きか。機械漉きでも工房によって違いがある。)厚さは?(特厚から超々極薄紙まで。薄葉紙でも工房によって違う。)落水紙の場合は、手漉きか機械漉きか。穴の大きさまで検討します。
染料は?(合成染料、顔料、植物染料。組み合わせる場合もある。)染め方は?(先染めか後染めか。浸け染め、折染め、もみ染め、絞り染め、刷毛染め、流し染め、吹き付け染めなど手法は無数。折染めの場合は、板締めか浸け染めか。縦折りか横折りか。折り幅は?絞りも入れてみるか? 判型によっては、繊維の方向が違うので、それも考慮に入れる。)
これらすべての項目が、和紙の染まり具合を左右するのです。その後、具体的な発色の検討に入ります。これが最も気を遣うところです。
そして、原稿作りを終えて、数ヶ所の工房へ発注します。
工房では、熟練した技術と経験、また科学的なデータをもとに、試行錯誤を重ねて丹念な作業が始まります。
この人智の及ぶ範囲の他に、人智の及ばないもの----自然条件(季節・天候・気温・湿度など様々な要因)が染めに影響してきます。
こうした困難な作業を経て、染め上がった和紙が、次々とがんぴ舎に到着し、スタッフ全員により、すべて手作業でカットされ、一枚一枚染まり具合を入念にチェックされ、袋詰めされます。そしてあなたの許へ届けられます。
あなたが教材の袋を開けるとき、幾多の携わった人々の心をしっかりと抱きしめた和紙達が、あなたへ挨拶することでしょう。あなたとの出会いが、和紙たちにとって幸せなものでありますように、願っています。
「雨あがる」のバックは華雫染め。初めて教材用の和紙を新人さんが染めました。花用には、色調節用の和紙を2種(白の超極薄紙と、白とピンクの麻の葉折り染め)入れています。葉脈は細く細く切って下さい(折り畳むと巧く切れます)。
「秋立つ頃」は式紙の色も所々残して。空の雪しずく染めの妙味を活かしてください。
(純)
この作品はちぎり絵サークルの教材として特に作者から提供されたものであります。したがってこの作品を模作・複製して発表したり、販売したりすることは著作権の侵害になりますのでご遠慮ください。